50歳に近づいてくれば多くの人が「自分が、定年したときの退職金っていくらかな?」と気にしだすのではないでしょうか。大丈夫です、正常です。わたしも定年が近づくにつれて何回も何回も計算したり、「ほかのひとはいくらくらいもらっているのか」「自分は平均よりも多いのか?少ないのか?」とインターネットで世の中の情報を調べていました。わたしの時とは相場が違うかもしれませんが、政府が公表しているデータなどをもとに最新の情報をまとめてお伝えしたいと思います。
定年退職金は、いつもらえる?
まず、定年退職金がもらえるタイミングですが、企業や働き方により変わりますが、おおむね60歳以上、最近では65歳が一般的だと言えます。
もともと、少し前までは、日本国内における一般的な定年退職の年齢は60歳でした。しかし、2013年に「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)」が改正されたことをきっかけに、国は企業に、60歳に達した労働者の再雇用または65歳までの定年退職の年齢の引き上げをほぼ義務付けました。
このため、一般的な定年退職の年齢は65歳となりつつあります。ちなみに、企業は60歳を下回る年齢を定年と設定することができません(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の第8条より)。
あなたがもしサラリーマンであれば、勤めている企業の就業規則などみて、定められている定年退職の時期を確認してみてください。
また、残念なことに、今後も年金受給開始のタイミングや人口減少社会における労働力確保との兼ね合いもあり、一般的な定年退職の時期は後ろにずれていく可能性もゼロではないと言えません。
参考:厚生労働省「高年齢者雇用安定法改正の概要(令和3年4月1日施行)」より
定年退職金の平均額は?
さて、次はいちばん気になる「定年退職金」の平均金額をみていきましょう。
政府が統計データを公表する「e-Stat」に掲載がある統計データ「令和3年賃金事情等総合調査」の中から、「産業、学歴、労働者の種類、コース、退職事由、勤続年数別モデル退職金総額及び月収換算月数」のシートよると、産業別の定年時退職金は次の通りになっています。
定年退職金は、勤続年数、学歴、総合職か一般職か、全体か製造業か、定年か会社都合か自己都合か、などによりモデルとする退職金の支給金額が変わってくるようです。いくつか前提を置き、公表されている数字をチェックします。
【製造業】大学卒・総合職では、約2,342万円
製造業では、繊維企業が最も高く5,659万円。次いで、車輛・自動車企業が2,631万円、石油企業が2,606万円と続きます。製造業全体でも2,342万円と大台の2千万円を超えているのが驚きの数字です。
産業 | 定年時退職金 | 集計社数 |
製造業全体 | 23,421 | 57 |
食品・たばこ | 16,822 | 9 |
繊維 | 56,592 | 4 |
化学 | 20,700 | 10 |
石油 | 26,061 | 2 |
機械 | 21,731 | 6 |
電気機器 | 19,743 | 7 |
車輌・自動車 | 26,311 | 7 |
【製造業以外】大学・創業職では、約2,563万円
製造業以外の残りの産業では、銀行・保険企業が最も高く4,529万円。次いで、商事が2,852万円、新聞・放送が2,643万円です。製造業よりも平均では200万円ほど多いという驚異的な数字です。大企業は強いですね。
産業 | 定年時退職金 | 集計社数 |
調査産業総計(上記の製造業含む) | 25,639 | 92 |
建設 | 25,648 | 7 |
銀行・保険 | 45,294 | 3 |
私鉄・バス | 14,770 | 8 |
海運・倉庫 | 24,404 | 2 |
商事 | 28,522 | 4 |
新聞・放送 | 26,430 | 3 |
定年退職金の支給制度が存在する企業の割合は?
ちなみに、退職金の支給が制度として存在している企業は、全体の約89%です。もらえないひとも少なからずいると考えると、金額の差はいくらかあれど、セカンドライフに向けてまとまった資金を手に入れることができるひとは、大切に退職金の使い道を考えていきたいところですね。
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